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【進撃の巨人】救世の翼【加筆修正完了】

第3章 反逆の刃を空にかざす


(もし、あのままミカサがあそこにいたら…)



最悪な未来が脳裏にフラッシュする。

想像の光景が胃を締め付け、顔色を失わせる。



「何だあいつ?!頭の悪い普通の巨人じゃないか!」



誰かの罵声が場を切り裂く。
怒りと恐怖が混ざった声で、混乱を助長する。



「エレン!」



私の声が再び飛ぶ。

彼の名が空に吸われ、意味を探すように跳ね返る。



「イアン班長!前方から二体接近!10m級と6m級です!」



伝令の声が鋭く響く。
数字が現実を突きつけ、戦況の悪化を皮膚で感じさせる。



「後方からも一体!12m級が向かってきます!」



絶望的な報告が続き、地鳴りのような恐怖が隊列を包む。

エレンが機能しないことを知り、現場は大混乱に陥ってしまった。


指示が交差し、人々の息遣いが速くなる。
計画の糸が一瞬でほつれ始める感触がある。


しかもそのタイミングで、多数の巨人共もこちらにやってくる。


遠くの影がうねり、ゆっくりとだが確実にこちらへ寄せてくる。
逃げ場のない感覚が胸を圧す。


ミタビは慌ててイアンに声を掛ける。


彼の声は震え、視線は揺れている。
頼るべき指揮が揺らいだとき、人は最も脆くなる。



「イアン撤退するぞ!あのガキ…扉を塞ぐ所じゃねーよ!」



決断と恐慌が同居した命令。
短い言葉の裏に、現場の絶望が滲む。



「ああ、仕方ないがここに置いて行こう」



諦めに近い合意が生まれる。計画は裂け、選択は苛烈になる。

その言葉を聞いたミカサは二人を睨み付ける。

彼女の瞳には憤りと拒絶が宿り、体全体が緊張の糸で張られている。


その恐ろしい瞳を見たイアンは驚き、顔を逸らした。

視線を外すことで心の均衡を保とうとするが、足元の不安は消えない。
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