第3章 反逆の刃を空にかざす
その言葉を聞いた三人は驚きで口が開いた。
「わしは嫌いじゃぞ?わしは負ける事が何よりも嫌いじゃ。お主はどう思う?」
司令に急に話を振られる。
恐らく私の方を向いて聞いてきたのだから、私に聞いているのだろう。
司令に問いかけられ、少し考えてしまう。
人類は、生まれてこの方負け続けている。
「…同感です、私も巨人に勝ちたい。今まで負けてきたからこそ、今度こそあいつらを負けさせてやりたい」
私の答えを聞いた司令は満足そうに頷き、リコ達の方へ向いた。
「わしも同じじゃ。巨人に勝ちたい。あの木偶の坊共に何としても勝ちたいんじゃ…」
「そ、それは私達も同じです!」
この三人の精鋭達も同じことは思っている。
だけど、未知なるものに挑戦することは、誰もが怖いと感じてしまう。
特に、この作戦においては。
後戻りすることなど、できない。
失敗した後、嘆く余裕もない。
やっぱりやらなかったら良かったと思うことすら、出来ない。
それでも、やるしかない。
「ならば、彼に賭けるしかなかろう」
恐ろしく曖昧な根拠だけが、私たち人類が、巨人に勝ちうる唯一の可能性なのだから。
「司令!そろそろ囮作戦開始時刻です!」
作戦開始の時間が迫っている。
「イアン・ディートヒッリ。リコ・ブレツェンスカ。ミタビ・ヤルナッハ。お主らは駐屯兵団の中でも精鋭中の精鋭じゃ。人類の命運は託したぞ」
三人は敬礼をした。その後、私の方を向いた。
「グレース・ヘルズ。お主は、リヴァイに次ぐ実力の持ち主じゃ。今この場において、一番頼りになるのはお主しかおらん。頼んだぞ」
「はい」
私も三人と同様に敬礼をした。