第3章 反逆の刃を空にかざす
「お主は穴を塞ぐことが出来るか?」
ピクシスの言葉に、息を詰まらせてしまうエレン。
司令は、エレンを使ってこの状況を打破しようと考えている。
「…っ!それは…その…どうでしょうか…今の自分に分かる事なんて、ここにいる皆とそう変わりません…。
なので、自分はここで出来るにしろ出来ないにしろ無責任答えるわけには…」
エレンはピクシスから目を逸らした。
自分の力に、まだ自信を持てていない。
「ああ…そうじゃのう。すまんかった。質問を間違えてしもうたわ。
お主はやるのかやらんのか、どっちだ?」
その質問にエレンは再びピクシスを見つめる。
ピクシスは目線を違う方向へ向けた。
私もその方向に目を向けると、そこには巨人に破壊されていない街があった。
いつ鎧が入ってくるか分からない。
早く、決断をしなければ。
エレンもその景色を見て、覚悟を決めたのかクッと歯を食いしばると前を向いた。
「……やります。やります!穴を塞げるかどうかは分かりません!
でも、やります!」
ミカサとアルミンはエレンの決意の言葉に口を開き、
私は“よく言った”と思い、口角を上げた。
その瞬間、緊張で張り詰めていた空気がわずかに緩む。
エレンの瞳には光が宿り、震えながらも覚悟を決めた力強さが見て取れた。
ミカサは剣を握る手に力を込め、アルミンは小さく息を整えながらも背筋を伸ばす。
私はその三人を見て、心の底から信頼と安心を感じた。
今、この瞬間から、戦いは新たな局面へと動き出す。
「よう言ったの。主は男じゃ!」
ピクシスも微笑んだ後、そう言ってエレンの肩をパンパンと叩いた。
その掌の音が、静まり返った空気に響く。
軽やかでありながら、妙に重たく感じたのは、そこに“期待”と“覚悟”が滲んでいたからだ。