第3章 反逆の刃を空にかざす
さっき、沢山の人間から自分自身を否定されて先程までの私たちに意見を言っていた自信の良さが見えてこない。
「お主自身が確証を得られん以上は、とりあえず頭に入れておくと言った所かのう…。
しかし物事の真意を見極める程度の事は出来るつもりじゃ。
お主らの命はわしが保証しよう」
3人共、その言葉に肩の力を抜いた。
司令程の人間に、歯向かう人間など今この場にいないだろう。
私も3人と同様、肩の力を抜いた。
「アルレルト訓練兵じゃったかな?」
「はっ!」
「お主は先程、巨人の力とやらを使えばこの街の奪還も可能だと申したな」
ー彼の持つ巨人の力と残像する兵力が組み合わされば、この街の奪還も不可能ではありません!ー
アルミンが先ほど言っていた言葉を思い出す。
「あれは本当にそう思ったのか?それとも苦し紛れの命乞いか?」
アルミンは少し迷うような目をしたが、
凛とした目で言い切った。
「…両方です!」
エレンが巨人化する前はオロオロしていたのに、今はこんなにも逞しく見える。
「あの時僕が言おうとしたことは巨人になったエレンが、
あの大岩を運んで破壊された扉を塞ぐということでした。
ただ単純に思いついただけですが、せめてエレンの持つ力に、
現状を打開出来る可能性を感じてもらえないかと」
アルミンの言葉を聞いたピクシスは背を向けた。
私は、そのままアルミンの背後に立って聞いている。
「もちろん、助かりたい一心でしたが!」
司令は私たちに背中を見せているから、
どんな顔をしているのか分からない。
だけど、アルミンの言った言葉に何かを感じ取ったようだ。
「助かりたい一心か…何より信用出来る言葉だ」
そう言うと手に持っていた飲み物を飲み始める。
入っているものは恐らく…酒?
ピクシスはコツンコツンと足音を立てて、
座ったままのエレンの前に行く。
「どうじゃ、イェーガー訓練兵よ」
「はい?」
エレンの目線に合わせしゃがみこむ。