• テキストサイズ

【進撃の巨人】救世の翼【加筆修正完了】

第3章 反逆の刃を空にかざす


“全て”という言葉の重さが、胸に沈み込む。

エレンは拳を握りしめ、低く震える声で続けた。


自分が巨人化できるようになったのは、父の仕業だと。
地下室に行けば、巨人の正体も分かるはずだと。


突然の情報量に、目の前が霞む。


血の気が引いていくのを感じながら、私はこめかみを押さえた。



(……今日はもう、驚くことばかりだ。頭が、パンクしそう)



エレンは怒りに駆られ、拳で巨人の骨格を殴りつけた。

乾いた衝撃音が響き、拳の皮膚が裂ける。



「だとしたらなんで隠した!?
その情報は何千人もの調査兵団が命を落としても求め続けた“人類の希望”ってやつじゃないのか!?

それを俺ん家の地下室に大事に仕舞っていたって言うのか?!何考えんだ、一体!」



怒声が壁のように反響する。

アルミンは言葉を失い、ミカサはただ静かに見守ることしかできない。


だが、混乱している場合ではない。



「そもそも親父は5年もほっといて何処へ…?」


『エレン』



私とミカサが同時に名を呼んだ。

ミカサの手が静かにエレンの肩に触れる。



「エレンの気持ちも分かるが、今は他にすべき事がある」



私の声には、優しさよりも現実を突きつける冷静さがあった。

砲弾の衝撃で生まれた煙が、ゆっくりと晴れていく。



“煙が晴れてきたぞ!見えたら攻撃だ!”という叫びが遠くから聞こえる。



「まだ動くな!」



私の声に3人の体がピタリと止まる。

互いの息づかいだけが静寂の中で重なった。


私たちは輪になり、小声で話し合う。

このままでは全員が撃たれる。
けれど、もう話し合いで解決できるような状況ではない。


彼らも、私たちも——すでに“恐怖”という刃を抜いてしまっている。



「俺はここを離れる!」



エレンの決意を孕んだ声が響いた瞬間、他の二人の顔が驚愕に染まった。

私は息を呑みつつも、心のどこかで思う。



(……そう言うと思った)
/ 102ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp