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【進撃の巨人】救世の翼【加筆修正完了】

第3章 反逆の刃を空にかざす


3人よりも前に出ていた時、急に腕を掴まれ、後ろに引かれた。



驚きで体が一瞬硬直する。
慌てて見ると、その手を握っていたのはエレンだった。


彼は荒々しくも力強い動作で、私とミカサとアルミンを自分の傍に置く。

次の瞬間、エレンは手を噛み、意志の灯った瞳を私たちに向ける。


眩しい光が弾け、瞬間的に視界を奪われ、思わず目を瞑る。



胸が押し潰されそうな圧迫感と、耳を震わす轟音——



同時に、後方から黒い煙が流れ込み、空気を飲み込むように充満していく。


しばらくして煙が薄れると、私たちは骨と筋肉で構築された内部にいた。

外からはどう見えているのか分からない。
だが、周囲の駐屯兵達の恐怖に歪んだ表情が視界の端に映る。



(まさか……巨人化した?)



恐らく私たちは、エレンという存在の内部に守られているのだろう。


砲弾が飛んできた方向だけが筋肉で覆われ、他は骨組みのまま——
無数の空洞を抜ける風と光の影が、不気味に揺れる。


ミカサは剣を握り直し、アルミンは口を開けたまま放心している。



「生きてるぞ……」


「ベルマン隊長!」



名前を呼ばれたキッツは、巨人の顔を見て思わず“ヒッ”と後ずさる。


その視線の先には、今までに見たことのない圧倒的な存在感——
胸が凍るような恐怖が、全身を駆け抜ける。



「様子を見ろ…!近付くのは危険過ぎる!各自警戒態勢のまま待機!待機だ!
砲弾に一弾装填させろ!」


(エレンはどこに行った?!)



慌てて周囲を見渡すが、何かを引き裂く音が耳に届く。


上を見上げると、エレンは慌てて身をよじり、項から顔を出す。


左腕は一体化しかけていたが、必死に自分で引き抜いていた。

近くにいるアルミンは、恐怖で荒い息をついている。



「ほ、砲声が聞こえた所までは覚えてる……
その後は凄まじい音と衝撃と熱……
今、僕達は巨大な骨格の内側……」


「エレンが私達を守った。今はそれだけ理解出来ればいい」


「……うん」



アルミンとミカサは、先ほどの出来事を振り返りつつも落ち着きを取り戻しつつある。

怪我はどうやら無いらしい。


周囲を見渡すと、あるものが目に入った。


その光景は、この骨と筋肉の世界にあまりにも似合わない——
しかし、あまりの可憐さに息を詰める。
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