第2章 絶望の果てに灯るもの
「君も、大丈夫?」
仕留め損なったもう一人の新兵、コニーに顔を向ける。
彼の目にまだ恐怖の残像が揺れている。
コニーは呆然としていたが、私に声を掛けられ慌てて返事をする。
「あ、ありがとうございます!!」
「これが私の役目だったんだから、気にしなくて大丈夫」
言葉は淡々としているが、内側には熱いものが流れている。
責務を果たしたという実感が、その声に力を与える。
(誰も犠牲になることがなくて、本当によかった)
危機から脱出することが出来て、私はホッとする。
胸の奥の力が少しだけ抜けるのを感じた。
「全体仕留めたぞ!補給作業に移行してくれ!」
それを聞いたリフトに乗っていた全員は、喜びの声を上げた。
銃を肩にかけ直し、仲間と顔を見合わせる。
笑い声とすすり泣きが混じり、短い安堵の時間がそこに生まれる。
窓の外ではまだ遠くで巨人たちがうめき、粉塵が舞っている。
だが今は、ひとまず、ここにいる命を守れたという確かな事実だけが、静かに胸に残った。