第2章 絶望の果てに灯るもの
飛行中、視界の端に三体の巨人の姿が映る。
先頭の子の足が捕まれたが、その子は瞬時に巨人の手を切り裂き、再び飛び続ける。
倒したい衝動に駆られるが、抱えている子を守るため今は手を出せない。
先頭の新兵に続き、窓を割って本部の中に飛び込む。
次々と窓が破れる音が響き、残りの子たちも追随する。
抱えていた子を壁際に寝かせると、怒声が飛び交った。
「こいつらだ!俺達を見捨てやがったのは!テメェらのせいで余計に人が死んでんだぞ?!」
「補給室に巨人が入ってきたの!どうしようもなかったの!」
先ほど先導していた子が叫び、傍には恐らく補給兵の女が立つ。
怒りと恐怖が混じり合い、部屋中の空気が張りつめる。
仲裁しようと口を開けたその瞬間、不意に耳を切り裂くような声が響いた。
「伏せろ!」
本部の壁が、まるで薄紙のように裂け、穴の向こうから巨人がこちらを覗き込む。
その顔は冷たく無遠慮で、私たちの恐怖を嘲笑うかのように静かに存在していた。
胸がざわつき、全身の筋肉が瞬時に緊張する。
あの巨人が再び入り込めば——生き残れる者は限られる。