第2章 絶望の果てに灯るもの
破片が命中し、無残に砕け散る人の肉。
迷子になった子供の泣き声、逃げ惑う人々の叫び声が渦巻く。
まさに地獄絵図。
巨人たちは、人間という“ご馳走”を求め、容赦なく街に侵入していく。
常駐の駐屯兵たちは避難誘導に奔走していたが、
かつての無秩序は影を潜め、5年前の惨劇から改善されているのが分かる。
だが、普段立体機動装置を着けていない私にとって、
この状況は依然として危険すぎる。
迅速に行動しなければ、巻き込まれるのは時間の問題だ。
視線を上げると、駐屯兵たちが立体機動を展開し、前衛へ向かう姿が見える。
急ぎ足で本部へと向かう。
胸の奥で鼓動が早鐘のように鳴る。
到着すると、すでに多くの兵士たちが集まっていた。
私はその中の一人、駐屯兵の男性に声をかける。
深く被っていたフードはもう脱ぎ、グレースの顔を晒す――自分が副兵士長であることを、すぐに分かってもらうために。