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【進撃の巨人】救世の翼【加筆修正完了】

第2章 絶望の果てに灯るもの


普段は壁外調査に行く時にしか通らないトロスト区の街並み。



今日は、特別に足を伸ばしてみる。

建物の隙間から差し込む陽光が、古い煉瓦の壁を柔らかく照らしている。


木々の葉がかすかに揺れ、街路に影を落とす。




この5年間で、街は確実に活気を取り戻していた。

調査兵団への当たりも、以前よりはずっと良くなっている。



もちろん、完全に好意的になったわけではない。
今もなお、軽視する人間はいる。




思い返せば、5年前――前団長のキース・シャーディスが辞任した後、幹部体制は一新された。



エルヴィン・スミス団長の下、長距離索敵陣形や統率の整った壁外調査は、生存率を劇的に上げた。

その戦場での“希望の灯台”となるのは、やはりリヴァイ兵士長。




そして私はその傍で日々、兵士たちの補助を行う副兵士長。

グレース・ヘルズ。





頭の中で、仲間たちの顔が次々と浮かぶ。




変人で好奇心旺盛な分隊長ハンジ・ゾエ。

鋭い嗅覚で巨人探知に貢献するミケ・ザカリアス。




“今回は、被害は少なくて済むだろう”


心の中で、そう呟きながらも、緊張が体の奥底でくすぶっている。

壁外調査は、いつも予想を超える危険を孕んでいる。
だが、リヴァイが先頭に立つ限り、希望は確かにそこにある。




トロスト区の書店で一冊の本を手に入れた私は、そのまま帰路に着こうとする。


歩きながら、ほんの少しだけ胸の内で思う。




(このまま帰って本を読もう。
リヴァイには「部屋の掃除をしとけ」って言われたけど……まあ後回しでいいか)





歩道に落ちる影と、風に揺れる髪の

柔らかい日差しと、静かな街の息遣い。
全てが穏やかで――



そう、今まさに、何事もないかのように見えたその瞬間、






その時は訪れた。
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