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三番隊の剣士【薄桜鬼】

第8章 御陵衛士


戦いの中、藤堂は動けずにいた。

伊東の骸を背に、ただ新選組と仲間たちの死闘を呆然と見つめている。
その瞳には、怒りとも悲しみともつかぬ光が宿り、拳は震えていた。

「藤堂、何をしている!!かかれ!!!」

仲間の叫びが飛ぶ。

藤堂はぎゅっと唇を噛み、血がにじむほど奥歯を噛みしめた。
ついに刀を抜き放ち、叫ぶ。

「やめろ……!やめてくれ!!!!」

声は悲鳴に近かった。
それでも藤堂は踏み込んだ。

仲間の怒りを背負い、自らの心を裏切るかのように。

霧島は反射的に刀を構え、その斬撃を受け止める。
火花が散り、刃と刃が押し合う。

「ぐっ……!」

衝撃で霧島の足が石畳を滑り、腰が落ちる。
心臓が凍りつくような恐怖に襲われる。

(藤堂さん……!)

一瞬、霧島の手が止まった。
その隙を逃さず、永倉が横から飛び込み、藤堂の刀をはじき飛ばす。

「平助!!命が惜しけりゃ下がれ!!!」

永倉の怒声が響いた。

藤堂ははっと息を呑み、弾かれた刀を見つめた。
夜風が吹き、血と鉄の匂いがさらに濃くなる。

一瞬、刀を拾わずに膝をつきそうになるが——

「……ふざけんな!!!」

藤堂は叫び、地面に転がった刀を拾い上げる。
その目には涙が光っていた。

「何してやがる平助!!逃げろ!!!」

永倉が再び怒鳴る。

「うるせぇ!!!!」

怒声と同時に、藤堂が永倉に斬りかかる。
永倉が受け止め、火花が散る。

原田が槍で敵を弾き飛ばし、霧島も再び前に出る。

鋼がぶつかり、耳をつんざく音が響き渡る。

再び、原田の槍が弧を描き、敵の喉を貫く。
血しぶきが霧島の頬を濡らす。
霧島は渾身の力で敵の腹を斬り払った。

「ぐあああっ!!」

呻き声とともに敵が倒れ、石畳に血が広がる。

藤堂は必死に仲間を守るように前へ出るが、永倉は斬撃を放たなかった。
そのたびに藤堂の顔が苦悶に歪む。

藤堂がなおも斬りかかろうとした、その瞬間——

御陵衛士の一人が振り下ろした刃が、藤堂の肩口を深々と貫いた。

「——っ!!!」

血が噴き、藤堂の手から刀がこぼれ落ちる。
カラン、と乾いた音が響いた。

「平助っ!!!!!」

永倉の怒声が、戦場の喧騒を切り裂いた。

藤堂は血に濡れた地面に膝をつき、嗚咽をこらえるように顔を伏せた。

肩が震え、血がぽたぽたと落ちる。
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