第2章 承認
酒と笑いが戻り、部屋は再び賑やかさを取り戻した。
藤堂は盃を片手に、にやりと霧島を見やる。
「けどよ霧島。お前、顔立ちは綺麗なのに無愛想だよなあ」
沖田がすかさず割り込むように笑う。
「確かに。平助の言う通り、霧島くんって壁が厚いよね。
……ほんとに新入り?実は間者だったりして」
「総司!」
土方の一喝が飛ぶ。沖田は肩をすくめ、悪びれもせずに笑った。
霧島は盃を机に置き、沖田の目を真っ直ぐに見返す。
「……私は間者ではありません。ですが、信じるかどうかは皆さん次第です。私は精一杯、任務を全うするつもりです」
一瞬の静寂を破ったのは、齋藤の落ち着いた声だった。
「副長。俺は霧島を間者だとは思いません」
視線が集まる中、齋藤は盃を指先で転がしながら言葉を続ける。
「剣を握る者の眼を見れば、何を抱えているかはある程度わかります。
……霧島の眼は間者のそれじゃない」
「おお……齋藤くんにそこまで言わせるとは」
近藤が感心したように笑い、土方も目を細めた。
「そうか。なら、これ以上は野暮だな」
沖田は頬杖をつき、霧島をからかうように片目を細める。
「へぇ。それなら安心だね。あとは、もう少し笑ってくれれば言うことないんだけどな」
「笑う理由があれば、笑います」
霧島は淡々と返す。
「お、いいじゃねえか!」
永倉が膝を打ち、大声で笑った。
「そういう強情なやつ、俺は嫌いじゃねえ!」
笑い声に混じって盃が次々に満たされる。
霧島の器にも酒が注がれ、場の熱はますます高まっていった――。