第2章 承認
近藤の一言で、場が一気に賑わった。
日々の任務で疲れた隊士たちにとって、食事はなによりの楽しみなのだろう。
「では、私はこれで――」
霧島が席を立とうとすると、
「霧島も一緒に食おうぜ!歓迎会も兼ねてさ」
藤堂平助が、屈託のない笑顔を向ける。
「おぉ、それはいいな」
近藤も賛同し、霧島も同席することとなった。
暫くして、食事が運ばれてくる。
配膳をしていたのは雪村である。
「どうぞ」
霧島の目の前に、白米と味噌汁、焼き魚が置かれた。
魚の香ばしい香りに、思わず腹の虫が鳴く。
「霧島の初稽古はどうだ」
土方歳三が、斎藤に問うた。
「まだ鍛錬は必要かと存じますが、即戦力として十分な腕前かと」
「そうか」
土方の口元に僅かな笑みが浮かぶ。
「へぇ、見かけによらず強いんだね」
皮肉とも冗談ともつかぬ言葉を吐くのは、沖田総司だった。
「おい総司、からかうんじゃねえ」
原田左之助が笑いながら口を挟む。
「師を誇れ。霧島の斬り込み方は、なかなか真似できるものではない」
「斎藤、お前が褒めるなんて珍しいな」
永倉新八が口を開いた。
「ふむ、腕だけではなく胆力もあるようだな」
近藤は感心したように霧島を見やった。
「武士としての心構えができている。それが一番大事なことだ」
霧島は箸を持つ手を止め、静かに頭を下げる。
「ありがたきお言葉」
「だが――」
土方が低い声を重ねた。
「強いだけじゃ務まらねえ。新選組にいる以上、規律を破る者には容赦はしねぇぞ。覚えておけ」
その場の空気が、わずかに引き締まる。
しかし次の瞬間、沖田がふっと笑い声をもらした。
「まあまあ土方さん、そんなに脅さなくてもいいじゃないですか。せっかくの歓迎の席ですよ」
「お前に一番効いて欲しい規律なんだがな…」
土方が苦笑混じりに呟くと、場が再び和やかな雰囲気に戻った。