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三番隊の剣士【薄桜鬼】

第10章 襲撃


「女のくせに、頑張ってんなあ」

不敵な声が耳に届き、霧島の刀がずしりと重くのしかかる。小さく歯を食いしばり、間合いへ飛び込んできた不知火の拳銃に、刃を合わせて受け止める。

「霧島!」

斎藤の声が背後から響く。
霧島は軽く頷き、集中を切らさずに刃を支えた。

「おいおい、飛び道具は飛び道具で返さねえとな。卑怯じゃねえか」

原田が槍を振り回し、間一髪で不知火の拳銃を弾き飛ばす。
金属音が夜の闇に鋭く響いた。

「原田か……お前も久しぶりだな」

「霧島の相手ばかりしてると、俺の槍に突かれるぞ」

不知火は弾かれた拳銃を軽く回収すると、口元に嗤みを浮かべた。

「はっ、相変わらず軽口ばっかりだな、原田。だが——」

言葉と同時に、不知火の影がぶれる。
まるで風と同化するかのような速さで、再び間合いを詰めてきた。

「来るぞ!」

原田が声を上げ、槍を横薙ぎに振り払う。
鋭い金属音とともに、不知火の拳銃が受け止められるが、その勢いは重い。霧島はその隙を逃さず突き、刀を閃かせた。

「甘ぇな!」

不知火は身を翻し、刃を紙一重で躱す。
返す脚が鋭く霧島の脇腹へ叩き込まれた。

「ぐっ……!」

霧島の身体が宙を舞い、背後の壁へと叩きつけられる。
壁面には蜘蛛の巣状に亀裂が走った。

「霧島!」

斎藤が駆け寄ろうとするが、その前にすっと影が割り込む。

天霧だった。

「言ったでしょう。我々と闘うのは時間の無駄だと」

「退け」

斎藤の眼光が鋭く突き刺さるが、天霧は一切怯まず立ち塞がる。

「ぐっ……くそ……」

その間に霧島が呻きながらも立ち上がる。
痛みを押し殺し、突きを放った。

だが——その鋭い一撃は、天霧の片手にあっさりと受け止められる。

「なっ……」

天霧は眉ひとつ動かさず、霧島の刀を握り止めていた。

刃先はわずかに天霧の手に食い込むが、それ以上は進まない。
まるで鋼鉄の壁に突きを放ったかのようだった。

「……これが、人の力か」

天霧の声は低く、冷ややかだった。

「悪くはない。しかし、我らには届きませぬ」

「離せっ!」

霧島は必死に力を込める。
腕が震え、喉から押し殺した呻き声が漏れる。

それでも一歩も退こうとはしなかった。

「霧島!」

斎藤が叫ぶ。その声に応えるように、霧島は振り返らず、必死に天霧を睨みつける。
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