第3章 プライベートアイ
その横で、小さな名探偵コナンくんが、車の下に落ちていたつけ爪を拾い上げた。
初音さんは2時間ほど前、「ネイルサロンに行ってくる」と言って、パーティー会場を抜け出していたらしい。
「(ネイルサロンに行った人が、数時間後に自殺?……違う。そんなはずない)」
コナンくんと目が合う。
きっと彼も、私と同じことを考えているのだと、そう感じた。
現場の駐車場からパーティー会場に移動し、目暮警部は出席者たちを前に集めた。
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。……今回の件ですが、自殺ではなく、殺人の可能性が高いと見ています」
「えっ!? 殺人?! 自殺じゃなかったのか?」
驚いた様子で毛利探偵が問い返す。
「ああ。実は、コナンくんが発見した“つけ爪”の先端に、皮膚片と思われるものが付着していた。おそらく、争った際に犯人のものが残ったのだろう」
目暮警部の説明に、毛利探偵は腕を組んで唸る。
その横には、どこかで見たようなウェイターの姿が…。
バチッと視線がぶつかる。
(……まさか。ここ最近、会わないようにずっと避けていたのに…。そういえば、昨日報告書にウェイターって書いてあった。でも、まさかここだなんて、なんてついてないんだろう…)
私は内心で息を整え、冷静に状況を読み取っていく。
事件が“殺人”と判明し、婚約者だった伴場さんは明らかに取り乱していた。
さらに、彼のスーツケースから見つかったヘアブラシの毛髪と、つけ爪の皮膚片がほぼ一致したという報告も入る。
「ふざけるな!俺が殺したって言うのか!? そんなこと、するわけないだろっ!」
伴場さんは声を荒げた。
「まぁまぁ、落ち着いてください。完璧に一致したわけではありません。
あらためてDNAを採取して、検証させていただけませんか?」
高木さんが穏やかに問いかける。