第3章 プライベートアイ
そのとき…。
「でも、被害者に抵抗されて引っかかれた傷を誤魔化すために、わざと自分を傷つけて“誤魔化した”って可能性もありますよね?」
その声が割って入った瞬間、私はサッと高木さんの後ろに避難する。
(……やっぱりでてきますよね…降谷さん)
今はウェイターとしての安室透である。
でも、このタイミングで、あんな挑発めいた発言をするなんて…。
「ふっ……よく言うぜ。“愛しい女”が誰かのもんになっちまう前に、殺したんじゃねぇのか?ウェイターさんよぉ」
唐突に出てきたサングラスの男の発言に、場の空気が一気に変わった。
「え……?」
突然のセリフに、安室さんは困惑していた。
目暮警部は眉をひそめ、言い争う2人を見ながら詰問する。
「どういうことかね?事実なら説明を求めるが……」
「ふっ。会ってましたよ。何しろ彼女に“雇われていた”んですからね。僕は、彼女の個人契約の探偵……“プライベート・アイ”です」
そう言って、安室さんは静かに眼鏡を外し、素顔を見せる。
その瞬間、コナンくんがピクリと反応したのを、私は見逃さなかった。
(コナンくん凄く見てる…)
「ふざけるな!そんなの言い訳だろ!なんでお前がこのパーティー会場の店でウェイターやってんだよ!」
「偶然じゃありません。この店にアルバイトとして入り、パーティーの場所に選んでもらったのは、あなたの行動を見張るためです」
「……なっ、なんのために……」
「初音さんに頼まれたんですよ。浮気癖のあるあなたに、他の女性の影がないか探ってくれと。だから僕は、わざとあなたのズボンにケーキのシミをつけました。女性から声をかけられないように、ね」
安室さんは静かに語りながら、伴場さんに視線を向ける。
「もっとも……僕が探偵として依頼を受けていたことを証明できる人間は、車の中で焼死してしまったわけですが──
ですが、そこの“サングラスの彼”が証人になってくれそうですよ?」
「ハッ!!」
サングラス男は鼻で笑った。