第2章 彼女の理由
「あ、おいっ…陽菜」
長年気になっていたことを、聞いている最中に水を差された挙句、陽菜にも逃げられた降谷は風見を鋭い目線でみる。
「そんなに、大事な話なんだろうな。風見」
「す、すみません。でも、至急これをみせたくて」
渡された資料は確かに重要な資料だった。
「はぁ。わかった、至急準備にとりかかってくれ」
目を通した資料を風見に返し、指示をする。
「あ、あの、降谷さん」
「まだ、何かあるのか?」
「い、いえ。仕事の事ではないのですが、先程のお2人の会話を聞いてしまって…しかし、自分が伝えるのも違うのではないかとも思うのですが…」
何かを言いたそうで、躊躇っている風見。
「なんだ?言いたことがあるならはっきり言え、風見」
「は、はい。自分は降谷さんを応援しています!だからこそ、お2人がすれ違っているのを見ているのが耐えられないといいますか」
「お前は何を言っているんだ?」
「実はこないだ、帰りの車で華守さんと話したんです。なぜ、彼女が降谷さんと距離を置くようになったのか」
降谷の眉毛がピクっと動いた。
(陽菜は俺には2年間、頑なに理由を言わなかったのに風見には話すのか?)
そう思うと、目の前にいる風見に怒りが沸いてくる。
「彼女が、華守さんが降谷さんと距離を置いたのは、貴方の足でまといにならないようになんです」
「は?」
全然、予想もしていなかった理由を聞いて間抜けな声がでる。
それから、風見はあの日、彼女と車で話したことを降谷にも話した。
「なるほどな。アイツらしいと言えばアイツらしいが…急に距離を置かれるこっちの身にもなってほしいものだな」
2年間の彼女の行動が腑に落ちた。
「で、お前はなんで俺に話したんだ?」
「自分は、ここに配属されてから、降谷さんが彼女をどんなに大切に思っているかを傍で見てきました。先程の話を聞いて、黙っておくなんてできません」
「そうか…。風見が俺にそんなに忠誠心があったなんて知らなかったよ。だが、ありがとう。これで、俺も遠慮なくいけそうだ」
改めて、自分をよく見てくれているいい部下をもったと思った。
「はい!自分は応援してます!降谷さん!」
余りの勢いに笑ってしまうが、この真面目さに今回も助けられたなと感じるのだった。