第4章 立候補
あれから1度家に帰り、お風呂に入ってから仮眠をとった。
少し寝たらスッキリし、夕べ降谷さんからきたメッセージを思い出し、重い足取りでポアロへ向かった。
ドアを開けると、カラン……と小さなベルが控えめに鳴った。
「……いらっしゃいま…」
「……」
声をかけた彼の目がふっと見開かれる。
自分で呼んでおいてその反応はどうなのかと思ったが、カウンターから出てきた降谷さんは、私を店の奥の静かな席へと導いた。
「こちらに、座ってください」
「ありがとうございます」
ちょうど席に着いた瞬間、コナン君と毛利探偵と蘭ちゃんが現れ、相席を誘われたので、一緒に座ることにした。
「いやぁ~、ポアロで陽菜さんにお会いできるなんて光栄です!」
相変わらずの毛利探偵に、私はいつものように微笑み返す。
「陽菜さんは今日はお仕事休みなの?」
コナンくんがオレンジジュースを飲みながら聞いてくる。
「今日は夕方から出勤だから、ちょっとお茶しようと思ってポアロにきたの」
「そうだったんだ!」
すると、安室さんがスッと立ち上がり、私のカップに角砂糖を一つ落として、静かにスプーンでかき混ぜる。
「疲れてるときは、少し甘いほうが落ち着きますよ」
私、疲れてるとか言ってないけどなと思いながらも一応お礼をいう。
「あっ、ありがとうございます」
優しい仕草に調子が狂いながらも、降谷さんがいれてくれたコーヒーに口をつける。
そのやり取りを見ていた蘭ちゃんがとんでもない事を発言する。
「陽菜さんと安室さんって……なんかお似合いですね」
「ぶっ!?」
まさかの爆弾を投下され、私飲んでいるコーヒーでむせそうになる。
「ら、蘭ちゃん?!」
「あっ、ごめんなさいっ。でも、なんかお2人の雰囲気をみてると、そう思っちゃって」
視線を逸らし、少し俯いた私の耳元に、安室さんがそっと顔を寄せてきた。
「……少しは意識したか?」
え?い、今、何て……?
突然の意味不明な発言に戸惑っている私とは正反対に、彼は何食わぬ顔で笑みを浮かべる。
「ところで、毛利探偵!僕を弟子にしていただけないでしょうか!!」
突然の申し出に、場の空気が一気に切り替わった。