第3章 プライベートアイ
モヤモヤした疑念を胸に、私は沈黙する。
そのとき、コナンくんが静かにみんなを引き寄せるように、口を開いた。
「でもさぁ、おかしくない?車って、人が乗る場所は燃えにくい素材でできてるんだよ?
それなのに、あんなに派手に燃えるのって……ちょっと変だよね?」
「たしかに……途中、爆発してたみたいだったし」と蘭ちゃんもつけ加える。
「爆発の原因は、どうやらスプレー缶だったみたいです。ほかにも段ボールや紙が大量にあって……全部、車を飾り付けるために用意されていたそうです」
高木さんが報告してくれる。
つまり、結婚式場でサプライズ演出をするための道具で、そして、ネイルサロン帰りの写メも、初音さんから伴場さん宛てに送られていた。
てなると、“自殺”とは思えない。
この状況から、目暮警部は伴場さんを犯人とみなしたようだった。
(たしかに状況証拠は揃ってるけど……なにかが引っかかる)
釈然としない思いを抱えたまま、私は考え込む。
「さっき言っていたDNAの“ほぼ一致”って……たぶん、つけ爪についていた皮膚片が雨や泥で汚れていて、完全な分析ができなかったからでしょうね。ただ、血縁者でない限り、“ゲノムがほぼ一致”するなんてあり得ません。つまり、そのDNAは──同一人物のものと考えるほうが、自然でしょう」
そう言って、安室さんが片目だけをつぶってウィンクする。
私は再び高木さんの後ろに隠れる。
「てめぇぇぇ!!」
伴場さんが激昂し、安室さんに殴りかかる。
「やっ、やめてください!暴力はっ!」
相手を返り討ちに出来るぐらい強いのに、弱い振りをする降谷さんをみて不覚にも面白いと思ってしまった。
「必要ねぇよ。……なぁ、伴場。落ち着けって」
毛利さんが素早く伴場さんの腕を押さえ、DNA再鑑定を行うことが正式に決定した。
私は、ふと隣にいたコナンくんの様子に目を留める。
伴場さんの背中を見つめながら、難しい顔をしている。
「コナンくん、なにか気づいたことあるの?」
「ううん、僕、子どもだからわかんないや!」
「そっか…」
コナンくんは大人っぽくなったり、子供っぽくなったり不思議な子だなと思いながら、1秒でもここから離れたい私は、事件の早期解決を願う。