第4章 ドSな先輩
「へぇ、俺のこと好きなんだ?」
バイト終わりの夜。喫煙所のフェンスにもたれて煙草に火をつけた先輩は、わたしの告白を聞くと口元をゆるめて笑った。
「悪いけど、ガキは相手にしてないんだよね」
「……そうですよね」
耐えるように笑って見せたけど、内心はぐちゃぐちゃだった。
「でもさ、泣かないんだな?強いじゃん」
先輩はわたしのあごに指をかけて、くいっと持ち上げた。
「可哀想なちゃんには、キスくらいくれてやるよ。……忘れらんなくしてやる」
「っ……!」
次の瞬間、押しつけるような強引なキス。
煙草の匂いと彼の温度に、頭が真っ白になった。
キスのあと、彼はすぐに煙を吐いて、にやっと笑った。
「……泣くなよ。じゃあな」
fin.