第3章 チャラい先輩
バイト先の裏の倉庫。段ボールの影。
こんな場所で告白したのは、タイミングを逃して、もうどうにもならなかったから。
「……ごめん。オレ、そういうのダメなんだ」
チャラい笑顔でごまかすように言う先輩は、いつも通りの調子に見えたけど、なんか、わたしの目を見てなかった。
笑って頷いて、でも目から落ちてきた涙は止められなかった。
「おいおい……マジかよ。泣かれるの、弱いんだって」
先輩はタバコをくわえながら、親指でわたしの涙を拭った。
「……チューくらい、してやろっか?」
「……え?」
「泣かれたら弱いし、可愛いし、……なあ」
そう言って先輩はふっと息を吐いて、煙の匂いと一緒に近づいてきた。
あったかい唇と、少し照れたみたいな息遣い。
「ほら、もう泣くなよ」
fin.