• テキストサイズ

フラれてお情けでキスされる話

第2章 無口めな先輩



「……俺、彼女とか、作る気ないんだよね」


短くて冷たいその言葉に、胸がズキンと痛んだ。

屋上に吹く夕方の風が、制服のスカートを揺らす。


でも、わたしの心は全然揺れない。
もう、がっちり掴まれてしまったから。

彼はしばらくわたしを見て、ぽつりと呟いた。


「……泣くなよ」

泣いてないと、そう言い返そうとしたのに、もう喉が詰まって出てこない。

彼は無言でわたしの前に立って、静かに顔を寄せてきた。


「かわいそうだから」

それだけ言って、わたしの唇をさらっていった。

キスのあと、煙草を取り出し火をつけて、遠くを見ながらこう呟く。


「……俺なんか、やめとけって」



fin.
/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp