第44章 『好奇心×力』藤堂平助編

畳の上に押し倒されたのは、それからほんの数分後のこと。


いつもよりずっと近い距離。


少し乱れた前髪の奥から、彼の瞳がじっと見つめてくる。



「ももかちゃんのこと、抱きしめたらさ……もう止まんなくなるって、自分でもわかってるから」


「……」
　

「それでも、＂抑えて＂って言う？」


わたしは少しだけ躊躇したけれど……それでも、頷いた。



「……じゃあ、俺の全部、見せるね」

　
口付けは、いつもよりずっと熱くて深い。


頬に、唇に、首筋に、平助くんの唇が何度も触れるたび、わたしの身体からは、力がどんどん抜けていった。



「……ももかちゃん、俺のこと煽りすぎ。……責任、取ってよね？」


「っ、ぁ……平助く……ん」


「＂抑えて＂って言ったからには、抱くよ？……全力で」


「……うん……」

　

そのあと、何度も何度も愛されて、優しい彼の、ちょっと強引な愛に包まれて――


気づけばわたしは、彼の腕の中でとろけていた。

　

fin.