第45章 『好奇心×力』土方歳三編
夜の屯所、風呂上がり。
彼の部屋の縁側で、ふたり並んで腰を下ろしながら、わたしは思い切って切り出した。
「土方さんって……どれくらい力が強いんですか?」
「は?」
「剣も強くて、隊士たちにも恐れられてて……でも、わたしといる時は……すごく優しいので」
「……おまえ」
「……もし、わたしが全力で抵抗しても、抑え込めるのかなって」
彼は少し眉をひそめて、煙草の火をゆっくりと揉み消した。
「……試したいのか?」
「気に、なります」
わたしの頬に、そっと土方さんの大きな手が触れる。
「どうしてもって言うなら……やってみせる。だけど、覚悟しとけよ」
「……っ、はい」
──次の瞬間。
わたしは、土方さんの腕の中に引き寄せられていた。
「……じゃあ、始めるぞ」
布団の上。軽く組み伏せられただけで、もう動けない。
彼の膝で腰を封じられ、両手首を片手でまとめられる。
「っ……あれ……?う、動けな……っ」
「言っただろ」
土方さんの声が、耳元で響く。
「……俺に抑えられるなんて、当たり前なんだよ」