• テキストサイズ

夢のあとさき、恋のまにまに

第60章 『縁側×日常』沖田総司編


午後の屯所。

柔らかい陽射しが障子から差し込み、畳の上にふんわりと光の模様を描いている。

わたしは、ひとり縁側に座って本を開いていた。


「ももかちゃん、何してるの?」

ふと声がして顔を上げると、そこには沖田くん。

手には湯飲みとお茶菓子がのったお盆を持っている。


「お茶淹れたんだ。せっかくだから、一緒にどう?」

「ありがとう、沖田くん」

笑顔で手渡されると、自然と顔がほころんだ。

湯気の香りがふわりと漂い、心までほっと温かくなる。


「本、読んでたの?」

「うん。書庫でちょっと気になったのがあって」

沖田くんは「そっかそっか」と言いながら隣に腰を下ろすと、そのままそっと体を寄せてきた。

近くで感じる彼の体温に思わずドキドキしながらも、どこか安心してしまう。


「……ももかちゃん」

顔を上げると、ふわりとした優しい笑顔が目に入った。


「俺……君とこうしてゆっくりしてる時間が、すごく好きなんだ」

「わたしも……沖田くんといると、落ち着く」

「ふふ、嬉しい。……俺、こうして隣にいるだけで……すごーく幸せになっちゃうんだよ」

そう言って、そっと肩を抱き寄せられる。

こちらも身を預けると、沖田くんは満足そうに微笑んだ。

極上の笑顔に、胸がきゅんと高鳴る。



ふと、彼がお茶菓子を差し出してきた。

「はい、これ。君が好きそうだと思って」

「わあ……ありがとう」

受け取ったお饅頭から、やわらかな甘い香りがして、思わず笑みがこぼれる。


「どういたしまして。……あ、俺も一緒に食べていい?」

「もちろん」

こうして、二人で同じお菓子を分け合う。

静かな午後に、わたしと沖田くんだけの時間がゆっくりと流れていく。



「ねえ、ももかちゃん。

……ずっと、そばにいてくれる?」


「うん。……ずっと一緒にいるよ」


「……ありがとう。

俺、君のこと……本当に大好き」


手を握り、視線を交わすだけで、世界が優しく輝いて見える。

午後の光に包まれながら、わたしはそっと目を閉じた。


幸せに満たされるこの時間が、ずっと続いてほしいと願いながら――



fin.

/ 126ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp