第14章 🩶斎藤一ルート
『初めての添い寝編』
「布団は敷いてある。……入れ」
それだけ言って、部屋に招かれた。
無口で表情の読めない斎藤さん。部屋はきれいに整っていて、真面目な人柄がにじみ出ている。
「落ち着く部屋ですね」
「余計なものがないからな。……だが、今日は君がいるから、少し違うかもしれない」
その言葉で、心がふわっとあたたかくなる。
布団に入ると、斎藤さんは静かに近づいてきて、そっと髪を撫でてくれた。
「……柔らかい。君の髪、触れると……落ち着く」
「わたしも……斎藤さんの声、落ち着きます。なんだか、安心するんです」
しばらく、言葉のない静けさの中にふたりでいて——
やがて、彼がぽつりと言った。
「君がいることで、俺の時間も変わった。……どうしてだろうな」
それは、照れたような呟きだった。
そして斎藤さんは、ゆっくりとわたしの手を取って、軽く握った。
「ももかのこと、何よりも大切にしたいと思ってる」
その一言は、どんな甘い言葉よりも、胸に深く染みこんだ。