第13章 💜永倉新八ルート
『初めての添い寝編』
薄く灯された行灯の光。
わたしは新八さんの部屋の布団の中で、静かに目を開けたまま、天井を見つめている。
優しい笑顔。真剣なまなざし。
みんなの「好き」が、胸に残って、眠れなかった。
そのとき、襖が静かに開く。
「……起きてる?」
ひと声かけて、遠慮がちに足を踏み入れてきたのは新八さんだった。
「新八さん」
「ちょっと、頭冷やしててさ」
そう言って笑いながら、布団の端にそっと腰を下ろす。
声を潜めていることで、自然と距離が近くなる。
「眠れそう?……今夜は、いろいろあったもんな」
「……はい」
しばらくふたりのあいだに沈黙が流れる。
「ももかちゃん、俺さ」
「はい」
「答え、急がなくていい。けど……それでも、そばにいたい」
言葉の奥に、強さと切なさが混ざっていた。
「こうして隣で眠れるだけで、嬉しい。だから、今日くらい……わがまま、言っていいか?」
わたしが黙って頷くと、新八さんは布団に横たわった。
そしてそっと腕を差し出してくる。
「……こっち、おいで」
まるで春風が吹いたみたいに、あたたかい笑顔だった。
迷いながらも、その腕の中におさまる。
広くて、あたたかくて、落ち着く胸の音。
「大丈夫、なにもしないよ。ただ、こうしてたいだけだから」
だけど──と、小さな声。
「ほんとは、もっと触れたくてたまらない。声も、熱も……全部、知りたい。……けど、今は、我慢する」
ふっと笑った声は、まるで自分に言い聞かせるようだった。
「ももかちゃんが、ちゃんと俺を見てくれるまで……待つよ。だから、それまで、そばにいさせて」
そんな彼の言葉に、胸が締めつけられる。
「ありがとうございます……新八さん」
「……ああ、その顔。やばい、寝れなくなりそう」
おどけるように笑ったその声に、ももかも小さく笑った。
こうして迎えた夜。
触れたい気持ちも、伝えたい想いも、ぎゅっと胸に抱いたまま。
ふたりは静かに、寄り添って眠りについた──