第12章 💚藤堂平助ルート
わたしが頷いた瞬間。
抱きしめられた体が、思ったよりも強くて、温かくて、でも優しくて。
「……こんなに近いの、初めてだね」
「うん……」
顔を見上げると、平助くんの目が震えていた。
そしてゆっくりと顔を近づけてきて、唇がそっと、重なる。
最初のキスは、くすぐったいくらい甘くて、
でもすぐに、何度も重なって、深く、熱を帯びていく。
「……もっと、触れてもいい?」
「……うん」
彼の手が、頬から肩、そして腰へ。
指先でわたしの体を確かめるように、ゆっくりと、でも愛しさを伝えるように撫でる。
「ずっと……こうしたかったんだ。君を……全部、感じたかった」
「……平助くん……」
着物の襟がほどかれ、素肌に触れる手のひらが、震えている。
「大事にする。絶対に、傷つけない。……君の全部が、俺にとって宝物だから」
唇が、頬に、首に、肩に、丁寧に触れてくる。
そのたびに、身体の奥が熱くなる。
ふたりで見つめ合いながら、ゆっくりと肌を重ねていく時間。
「声……聞かせて。俺のこと、感じてくれてるって、ちゃんとわかりたい」
名前を何度も呼ばれて、
そのたびに愛が伝わってきて、涙がにじむ。
やさしくて、熱くて、あたたかくて。
子ども扱いなんかじゃない、ちゃんと''男''としての彼が、そこにいた。
夜が更けて、布団の中でぎゅっと抱きしめられながら……
「ずっと、そばにいて。誰にも渡さないって……もう決めたから」
「わたしも……平助くんの隣が、一番安心する」
甘く、あたたかく、とけてしまいそうな夜。
彼の笑顔も、涙も、全部わたしのものになった夜だった。