• テキストサイズ

夢のあとさき、恋のまにまに

第12章 💚藤堂平助ルート


わたしが頷いた瞬間。
抱きしめられた体が、思ったよりも強くて、温かくて、でも優しくて。


「……こんなに近いの、初めてだね」

「うん……」

顔を見上げると、平助くんの目が震えていた。

そしてゆっくりと顔を近づけてきて、唇がそっと、重なる。

最初のキスは、くすぐったいくらい甘くて、
でもすぐに、何度も重なって、深く、熱を帯びていく。

 
「……もっと、触れてもいい?」

「……うん」


彼の手が、頬から肩、そして腰へ。
指先でわたしの体を確かめるように、ゆっくりと、でも愛しさを伝えるように撫でる。

「ずっと……こうしたかったんだ。君を……全部、感じたかった」

「……平助くん……」


着物の襟がほどかれ、素肌に触れる手のひらが、震えている。

「大事にする。絶対に、傷つけない。……君の全部が、俺にとって宝物だから」



唇が、頬に、首に、肩に、丁寧に触れてくる。
そのたびに、身体の奥が熱くなる。

ふたりで見つめ合いながら、ゆっくりと肌を重ねていく時間。

「声……聞かせて。俺のこと、感じてくれてるって、ちゃんとわかりたい」


名前を何度も呼ばれて、
そのたびに愛が伝わってきて、涙がにじむ。

やさしくて、熱くて、あたたかくて。
子ども扱いなんかじゃない、ちゃんと''男''としての彼が、そこにいた。

 

夜が更けて、布団の中でぎゅっと抱きしめられながら……

「ずっと、そばにいて。誰にも渡さないって……もう決めたから」

「わたしも……平助くんの隣が、一番安心する」

 

甘く、あたたかく、とけてしまいそうな夜。

彼の笑顔も、涙も、全部わたしのものになった夜だった。

/ 126ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp