第11章 💙土方歳三ルート
こくりと頷いた次の瞬間、ぎゅっと抱き寄せられる。
肩に額を預けるようにして、土方さんは少しだけ震えていた。
「……怖かった。誰かに奪われそうで、ずっと胸がざわついてた」
「そんなこと……」
「俺はな、不器用な男だ。優しい言葉も、洒落た贈り物も、してやれねえ」
「……でも、土方さんの言葉が、一番嬉しいんです」
そう伝えると、彼の腕がさらに強くなる。
ゆっくりと引き寄せられて、唇が触れ合う距離に——
わたしは黙って、目を閉じる。
唇が触れ合った瞬間、
何かが静かに崩れて、ひとつになっていくような気がした。
最初は浅くて、やさしい口づけ。
だけど、時間が経つにつれて、求める気持ちが高まっていく。
「……声、我慢すんな。全部、聞かせろ」
耳元で低く囁くその声に、ゆっくりと心がほどけていくのを感じた。
布団の中で重なるぬくもり。
ひとつひとつの触れ方が、慎重で、誠実で、それでいて熱い。
「……ももか。これが俺の全部だ。おまえだけに、捧げる」
何度も何度も名前を呼ばれながら、
わたしは土方さんに、全てを預けた。
やがて、夜が更けて、
静かな吐息だけが部屋を包んでいく。
「……眠いか?」
「ううん。なんだか、ずっとこうしていたいです」
「俺もだ」
強く抱き寄せられて、額にキスが落ちる。
「……どんなことがあっても、俺の隣は、おまえの場所だ。ずっと」
その約束の言葉が、何よりも甘く、熱かった。
——それは、ふたりだけの静かな誓いの夜だった。