第11章 💙土方歳三ルート
『初めての夜編』*
それは、春の終わりのことだった。
わたしは正式に、新撰組の一員として屯所に残ることになった。
男所帯の中で、異例の決定だったけれど……
土方さんが、わたしを守ると、全ての責任を負うと宣言してくれたから。
「誰に何を言われようと、俺が決めた。おまえは、ここにいていい」
それだけで、すべてが報われる気がした。
その夜。
隊士たちの声が遠くに響く中、静かな副長室の障子を開ける。
「……入れ。待ってた」
畳に正座した土方さんが、いつものように厳しい顔でこちらを見つめていた。
「ももか、おまえに話がある」
「……はい」
背筋が伸びたその瞬間、土方さんは深く息を吐いて、小さな声で呟いた。
「もう、遠慮すんな。今日は……おまえとちゃんと向き合いたい」
彼の言葉は、いつもぶっきらぼうで、飾りがない。
だけどそのぶん、まっすぐ心に刺さってくる。
「……ここに残ると決めたのは、おまえの意思だ。誰かに言われたからじゃねえ。違うか?」
「はい。わたしが、そうしたいって思ったから……」
「そうか……なら、その覚悟に応えたい」
わたしの隣に来た土方さんが、正座を崩して、ゆっくりと手を取る。
分厚くて、少し硬いその手が、そっと指を絡めてきた。
「……この手で、おまえを抱いてもいいか?」