第10章 🩵沖田総司ルート
『茶屋デート編』
ある休日の午後。
人通りの少ない裏道で、沖田くんが手を引いてくれた。
「ももかちゃん、こっち。秘密の場所、案内するね」
着いたのは、知る人ぞ知る古い茶屋。
外からは見えない奥の座敷、すだれの影から外の景色をぼんやり眺められる、静かな空間。
「はい、これ。冷たい甘酒。ももかちゃん、好きそうだなって思って」
「ありがとう」
「今日はね、君を独り占めする日。だから、誰にも邪魔させないよ」
おちょこを手渡されたと思ったら、ふいに手が触れて——
どくん、と心臓が跳ねる。
「ももかちゃんって……こんなふうに近くで見ると、可愛すぎるね。目も唇も……全部」
(な、なんか……今日はいつもより距離が……)
「ねぇ、こっち向いて?」
そう言って顔を寄せてくると、すっと指先が頬をなぞり、喉元へ。
「襟、緩んでるよ。……直すね?」
わざとらしくない自然な仕草で、でもそこには意図があるのが伝わって、思わず頬が熱くなる。
「……こうしてると、口付けしても許されるんじゃないかって思っちゃう」
「く、口付け……?」
「しても、いい?」
わたしが頷く前に、沖田くんの唇がそっと重なってくる。
甘く、優しく、でも逃がさない。熱を帯びたキス。
「ん……っ」
やがて離れたあと、彼はくすっと笑って——
「俺、けっこう本気で焦ってるんだよ?君のこと、誰にも渡したくないから」
そう囁く声が、耳に甘く響いた——