第53章 『痺れ薬×我慢』藤堂平助編
――数日後。
平助くんが、わたしをいきなり後ろから抱きしめてきた。
「きゃっ……平助くん!?」
「やっと動けるようになったから……ももかちゃんに言いたいこと、いっぱいあるの」
そう言った瞬間、くるりと身体を回され、押し倒される。
「動けない間、ずーーーっと、ずっと我慢してた。……お世話のふりして、かわいすぎるんだよ……」
「え、ちょ、ちょっと待って――っ」
「待たない」
着物の帯をゆるめながら首筋を舌でなぞられ、体が熱を帯びて震え出す。
「ここ……俺が動けなかったとき、ちょっと触れられただけでやばかったの……今はもう、ぜんぶ、好きなだけ、できるんだよ」
「っ、平助くん、……っあ!」
「……ももかちゃんのせいだからな?
俺、何回でも抱くから、……ちゃんと受け止めてよ」
――
明け方。
何度も求められてへとへとになったわたしに、平助くんがぎゅっとしがみついてくる。
「ももかちゃん……もう、離さないから。あんなに俺を焦らしたんだから、責任とって、ずっとそばにいて?」
「うん……平助くんがいい、ずっと……」
とろけるような口付けを交わして……
そのまま、もう一度――甘い夜に溶けていった。
fin.