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夢のあとさき、恋のまにまに

第8章 『土方歳三 個人ルート』


『朝餉と恋心と、隊士たちの眼差し』


朝の陽射しが障子越しに射し込む頃。
まだ慣れない着物に手こずりながら台所に顔を出すと、数人の隊士が朝餉の準備をしていた。

「お、ももかちゃん。おはよう!」

一番に声をかけてくれたのは沖田くん。
手ぬぐいで頭を覆いながらも、その笑顔は変わらず優しくて、朝から眩しいくらいだった。

「はい、おはようございます。何か、お手伝いできることありますか?」

「じゃあ、味噌汁の椀並べお願い。あ、それと……これ、熱いから気をつけて」

鍋を持っていた沖田くんが、さっとわたしの手元に布を添える。
指先が一瞬だけ重なって、その距離の近さに、思わず心臓が跳ねた。

(……ちょっと、近い)


「ふふ。照れてるの?もしかして」

「ち、違います!」

「そう?でも可愛いなあ、ももかちゃんは」

そんなやり取りをしながら器を並べていると、後ろから声が飛んできた。

「おーい、総司!あんまりちょっかい出すなよ!」

新八さんだった。笑いながら味噌樽を抱えてこちらへ歩いてくる。

「ももかちゃん、今朝は顔色いいね。……もしかして昨日、いい夢でも見た?」

「えっ……そ、そんなこと……」


ふいに、昨日の夜のことがよみがえる。
縁側で交わした土方さんの言葉。

思い出しただけで、頬が熱くなってしまう。

(あれって……やっぱり、優しさだったのかな)

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