第45章 輝く舞台、愛される存在
そして、相澤が何気なく右手を少し差し出す。
言葉すらない。
けれどは当たり前のようにその手を取る。
それだけで、会場の息は止まる。
そう、この2人は“演出”じゃない。
信頼し合っていて、自然で、呼吸が合ってる。
歩くテンポ、距離、目線。
全てが慣れているのに特別。
エスコート中、会話はない。
触れている手は強く握りしめている訳では無いのに、絶対に離さないような強さ。
いつも当たり前に隣にいる、みたいな自然さ。
それが観客に伝わる程、2人は自然で揺るぎない信頼関係が滲み出ていた。
ステージに戻り、司会者が叫ぶ。
「では最後のアピールタイムです!」
相「……はぁ」
まず頭をポリポリ掻く。
観客はそれを見て、ざわつきながら笑う。
相「アピールって……。俺はこういうの得意じゃないし……そもそも、そんなガラでもない」
少しだけ言葉を選んで、の方を一瞬だけ見る。
相「……でも。今日は、本当に……綺麗だと思う。それだけ」
無駄が一つもなくて、心の底から出た言葉。
会場が静まり返る。そして、
「「「きゃああああああああ!!!」」」
あの相澤先生が!!と盛り上がってる。
男女関係なく、全員が驚きと共に黄色い歓声を浴びせる。
「…っ。ありがとう、ございます。…消太さんも、いつもと違って……、とても、かっこいいですよ」
相「っ……ありがとう」
その2人の様子に、きゃーきゃーと騒ぐ観客達。
「以上で、代表者全員が出揃いました!続いて、投票に入りますが、準備のため、一度お2人は戻ってもらいます!」
ステージを降り、暗がりに入ったその一瞬。
相澤が迷いなく腕を伸ばし、を抱き寄せる。
「えっ……!?」
驚く暇もなく、名前を呼ぶ低い声。
相「……」
そのまま──
触れたか触れないか、自身も分からないほどのふわっとした、額へのキス。
一瞬だけの、秘密の熱。
離れる時だけほんの少し耳が赤い。
相「……行くぞ」
何事もなかったように歩き出す。
でもは、自分の心臓が跳ね上がってるのを隠せない。
余韻を引きずったまま、は控え室に戻る。
胸が──バクバクして止まらない。