• テキストサイズ

私と君と自転車と…?

第1章 目は口ほどに物を言う  金城/甘


「……葵。」


金城君の低い声に心臓が大きく跳ねた。

いつの間にか向かい合うよう座っていた金城君の手が、私の赤くなっているだろう頬を撫でる。
かち合っていた瞳が一瞬逸れたかと思えば、サングラスが外され…真っ直ぐと射抜くような瞳が私を捕らえる。

どんどん近付いて来る金城君に、私はぎゅっと目を瞑った。

ちゅっ。ちゅ、…

額、瞼、頬…、

当てるだけだった柔らかなキスの雨が、唇に到達すると食むようなものへと変わる。
頬に触れていた金城君の手は、気付けば腰に回されていて、角度を変えて繰り返されるキスに彼との距離がゼロになる。

やばいなぁ、もぅこのまま…

ΣΣって!!ダメ、絶対!!

『金城、君…ここ、…通、路っ…///』

僅かに残った理性で金城君の胸を押し返すと、彼は珍しくも余裕の無い表情をしていた。

熱を灯し揺らめく瞳。

きっと今、私も同じ目をしてることだろう。

好きだと、言葉にしなくても伝わったから。

「すまない。あまりに…葵が、可愛い事を言ってくれるから、歯止めが利かなくなった。」

『~っ///』

真っ直ぐだ。本当、この人、直球しか投げない。
…、そりゃ、捻くった変化球なんかより分かり易くって良いけど…。

この顔で、
この目で、
この声で…

どれだけの破壊力持ってんのか少しで良いから考えてみて欲しい。

(じゃなきゃ…、)

『あー…、私、部屋に戻るね。』

私は先程よりも強く金城君を押し返すと、席を立つ。

「…もう、行くのか?」

自然と見上げる形となった金城君は名残惜し気に私を見つめる。

(…っ、…これ以上一緒に居たら、次は私も歯止めが利かなくなるから、絶対無理!!)

私は慌てて金城君の視線を逸らすと、早鐘の如く鳴り響く胸を押さえ、振り返る事無く『おやすみ』を伝えると、逃げるようにして部屋へ戻ったのだった。



end




/ 6ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp