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青春から惰性まで(ヒロアカ夢短篇集)

第1章 lie and…【瀬呂範太】


入場時に今日の席がわかるため、荷物検査の後の広場はかなり混雑していた。

私は友人の連れということで、席は彼女がスマホの電子チケットで確認してくれた。読み込みのまん丸がグルグルしている間、私はもうさっきのことは忘れてライブを楽しもうと、気持ちの切り替えに必死だった。

「神席神席神席神席頼む頼む頼む頼む…」

呪文のように呟く友人の横で、思わず両手を合わせた。
さっきのことが、夢でありますように…いい席になれますように…!

パッと画面が切り替わって数秒の後、友人は歓喜の悲鳴をあげた。

「待って待って待って!!!アリーナ1番前のブロックだよここ!きゃーどうしよう!のおかげだよきっとやばいありがとう!!!」

少し涙ぐんで跳ねて喜ぶ友人のテンションに飲まれ、私も思わず抱きついてしまった。
その喜びもつかの間、慌ててアリーナ席の入口に向かった。

スタジアムの中に入ると、いつもの競技場が様変わりしていて、大きな舞台と機材と緩やかなスモークが漂っていた。
その圧巻の規模にたじろぎ、思わず「わぁ…」と間抜けな声が出てしまう。
決められたパイプ椅子に座ると、肉眼でメインステージがしっかり見えた。サブのステージに近く、あわよくば水も飛んできそう。

友人は初めてのアリーナ席に今から泣いていて、ペンライトの電池交換をする手が震えていた。

「もう、生ぎででよがっだよぉ」

「これからだから!きっと顔見れるしファンサもらえるかもよ!涙拭いて、メイク直そ!」

気持ち切り替えよ!という意味も込めて、友人の肩を抱いた。

ペンライトの光具合や団扇の準備をしている間に、あれよあれよという間に公演時間が迫り、カウントダウンと共に会場が熱気に包まれた。

0、と会場にいた全員が叫ぶと、炎の演出とともにメインステージの床から、彼らは飛び出してきた。

そこからアレンジされたデビュー曲が流れ、メンバーのリーダーが「ジャパーーーン!!」と叫んだところで私は膝から崩れ落ちた。

1曲目のサビまで何故か涙が止まらなかったけど、2曲目冒頭の推しのラップの時には思わず、「ハンくーーーーん!!!」と推しの名前を叫んでしまった。

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