第2章 …punishment【※瀬呂範太】
2週間ほど前の休日に、市外のアウトレットモールへ出かけた。その時に彼に買ってもらった「すげぇデザインの下着」に渋々着替えた。
さっきまで着てた部屋着はソファの上に放った。
どうせ脱がされるし汚したくないから初めから着ない方がいいことを、彼と付き合ってから学んだ。
瀬呂君からの指示は下着を変えることだけだったが、その少ない言葉の中にはまだたくさんあって、私は淡々とこなしていく。
飾り棚の上にあるお香を選んで火を点け、香立に差す。
煙がくゆり始めたのを確認し、部屋の電気を消してベッド横の間接照明の明るさを調節した。
彼との情事を迎える前はいつもこうするし、彼にもその気があって私が後で入浴を済ませる時には、こんな感じで部屋が仕上がっている。
いわば、お互いがお風呂から出たあと部屋の様子がこうなっていれば、「したい」ってことだしそうなってたらお互い拒否はしない。
ただ、今日は違う。
たぶんこれから、私は手酷い罰を受けるんだ。
ライブで疲れたし、あんななことが無ければ今日はそのまま余韻に浸りながら寝たかったのだけど…。
瀬呂君に命令された以上、拒否はできない。
怒った時の瀬呂君は数回だけ見た事あるが、あまりにも普段と違って怖くて、逆らえる雰囲気にならない。
とにかく今日は、たくさん謝って、瀬呂君の言いつけ通りに大人しく待ってて、命令には「はい」か「YES」で言いなりになって、どんなに恥ずかしい格好をされても、どんなに恥ずかしいことをされても、全部全部受け入れて、彼が望む言葉を吐き出して、懺悔をしよう。
そうだ、それがいい。
よし、いつでもこい、と変な気合いが入ったところで、寝室の扉がゆっくりと開いた。
そこには、まだ髪が少し濡れたままで下着しか身につけてない瀬呂君が気だるそうに立っていた。
部屋と私を一瞥すると、片方の口角を上げて笑い、こちらに近づいてきた。
大きな手を私の頭の上にかざしたので、つい身をすくめたが、優しく髪を撫でてくれた。
「準備して待ってたの、えらいね」
今日聞いた声でいちばん優しくて、思わず笑いそうになった。たげどそのあと降ってきた言葉は、思った以上に無慈悲だった。
「かと言って、まだ許してないけど。罰を受ける覚悟、できてるよなぁ?」
驚いて顔を上げた瞬間、肩を掴まれて乱暴にベッドに押し倒された。
─END─
