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青春から惰性まで(ヒロアカ夢短篇集)

第1章 lie and…【瀬呂範太】


意外とスムーズな物販の列から外れ、キッチンカーで買ったヤンニョムチキンとロングポテトを食べながら、友人と木陰で休憩を取っていた。

食べる前に、2人で5枚ずつ買ったランダムトレカは、嬉しいことにお互いの推しがお互いに出たので、難なく交換し、早くも良い釣果を得られた。

「ね、席どこかな!あと2時間も心臓もたないよー!」

ポテトを頬張り、眉間に皺を寄せる友人の言葉に頷くと、1口サイズのヤンニョムチキンを口に入れた。

「まさか入場の時に分かるなんてねー、入口ごった返しそう…あ、だから公演1時間前から入場しろってことか」

初めての参戦なので分からないことだらけだが、玄人である友人はまた、あーとかうーとか唸る。

「私まじで席運ないからさ!スタンドの1番後ろとか平気であったし、ホント期待だけは勘弁ね」

「どこの席でも大丈夫だよ!私は初めてだから、まずこの空気を吸えるのが幸せ…しかも、日本に来てくださるなんて、ありがたやだよ…」

「それはね、私も初めはそうだったけど、人間は段々欲ってもんが出てくるから…」

「逆に今回は、アリーナの前の方だったりして!」

「フラグ立つ!やめて!!」

ケラケラと笑いながら、同じタイミングでドリンクに手を伸ばした。メンバーカラーをイメージしたパウチのドリンクで、値段にビビったものの、SNS映えしそうで可愛いし何よりメンバーカラーに惹かれて買ってしまった。

こういう雰囲気、どこまでも財布を緩めてしまうから恐ろしい…。

「そういえば、彼氏になんて言って今日出てきた?」と私が聞くと、ストローから口を離した彼女は、「え、普通にライブだって言ったよ」とあっけらかんとした。

「別に隠すもんでも無いし、彼も彼で趣味があるからお互いそこは、暗黙の了解って感じだよ。で、は?」

自分に聞かれるとは思ってなかったので、飲む訳では無いがドリンクのストローをくわえた。

「…ライブとは、言ってない」

「えそれ、大丈夫なやつ?」

「なんなら推し活してることも言ってない…」

「まじか!え、なに彼氏さん嫉妬深いカンジ?」

いやそれは無いと思う!と言いかけたが、正直なところ本心は聞いてみたことがなかったのでわからない。

彼は、嫉妬深いのか…?

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