第2章 …punishment【※瀬呂範太】
で、どうなの、質問に答えてと追い打ちをかけられて、私は呼吸を整えながらゆっくりと答えた。
「嫉妬させちゃったり、心配かけちゃったり、嫌な気持ちにさせちゃうかなと思って…ごめん」
「ふーん、嫌な気持ちねぇ…」
衣擦れの音が聞こえると、シュッとテープを出す音が聞こえた。同時に、後ろでまとめられていた私の腕が、テープに巻かれる感覚がした。
「それ分かっててやったわけ?」
「待ってごめんって…正直に言ったよ!あとそれから、嘘ついてごめんなさい…黙ってアイドル推してたのも全部謝るから、瀬呂君が嫌なら、もう辞めるから!」
自由を奪われたことと、背後で彼がどんな顔をしてるのか分からない恐怖から、矢継ぎ早に謝罪が並ぶ。
しかし背後の彼の方は微動だにせず、代わりに大きなため息が聞こえた。
その雰囲気に恐怖を感じる。
「ほんとに、ごめんなさい…瀬呂君」
「その瀬呂君っていうのさあ…」
呆れた声が聞こえたかと思うと、大きな手が私の首根っこを掴んだ。
「あっ…!?」
「俺のことは苗字で呼ぶくせに、の推し?のことは『ハンくん』って名前で呼ぶじゃん。俺と似た名前ってのも癪だけど、他の男に女の顔してるはもっと癪だわー」
「…いやでも、『ハンくん』の『ハン』って苗字だから名前呼びはしてなくて…」
「そういうことを言ってるんじゃねぇんだわ。え、なに?この状況で余裕かましてんね、」
待って違うよと訂正しようとしたが、今度は両肩を掴まれて正面を向かされた。
マスクをずらした瀬呂君は、余裕のない顔をしているが、にやりと嫌な笑みを浮かべている。
「続きは後で嫌ってほどしてやるから、風呂入ってきたら?楽しんで、いっぱい汗かいたでしょ?」
遠回しに汗臭いと言われているようで、思わず顔に熱が集まった。
瀬呂君は引きつったように笑うと、あっさりとテープの拘束を外してくれた。少しだけ赤みを帯びた手首を撫でてると、「ほら早く」というように、脱衣所の方を顎で示した。
靴を脱ぎ、瀬呂君が変な動きをしてこないかよく警戒しつつ、逃げるように脱衣所へ入った。