第2章 …punishment【※瀬呂範太】
彼の計らいで既に湯船にはお湯が張られていた。
こういう時、ちょっと値の張る家賃のマンションの設備に救われる。
出先でも、アプリと給湯器が連動してお湯張りや追い炊きが出来る。それもこれも、彼の収入あってこその待遇で、しがないOLとして働く私にはもしかしたら訪れることの無い生活だったのかもしれない。
名残惜しく参戦服を脱ぐ。ネットに入れて、洗濯カゴへ放り込むと、次いでピアスやネックレスを外していく。
大概のことはお風呂入ればなんとかなる…って、誰かが言ってたような気がするけど、誰だっけ。
とにかく、今日あった嫌なことは全部洗い流してしまおう!
棚から、特別な時にしか使わないサロン用のシャントリを取って、意気揚々とお風呂へ入った。
湯の温度が若干高めだったからか、いつもは30分ほど長湯をするが、今日は15分ほどで限界を迎えた。
髪をタオルで巻いて部屋着に着替えると、ガラッと脱衣所の扉が開いた。
誰が開けるかなんてわかってるし服も着てるけど、驚いてつい胸の前を隠すようにした。
瀬呂君はそんな私に表情を変えず一瞥すると、「上がったなら俺も入るかな」と、遠慮なく狭い脱衣所に入ってきた。
逃げるように脱衣所から出ていこうとすると、後ろから声をかけられる。
「この間買ってあげた、すげぇデザインの下着…あ、黒いやつな?それを着て、大人しくベッドで待ってること。いいな?」
ゆったりとしたシャツを脱ぎながら、こちらを見ずに彼は命令してきた。
いや今着替えたばっかりなんだけど、と文句を言いたくなったが、今日の今日でそんな態度をとれるわけもなく、私はただ蚊の鳴くような声で従順な返事をすることしか出来なかった。