【NARUTO】ごめんなさいから始まる物語【トリップ】
第8章 忍犬との出会い
「助けてくれたことは感謝する。では、拙者は用があるのでここで」
そのまま何歩か進むと、怪訝そうな顔をして立ち止まった。
しばらくそのまま止まっていたため、声をかける。
「どうしたの?」
「…足を痛めてしまったようだ」
よく見ると、足の肉球が少し傷ついていた。
柵に引っかかった際に暴れてどこかに引っ掛けたのだろう。
パックンは困り顔。
「私は忍じゃないから早く走ったりはできないけど、連れて行こうか?」
そう言うと、一瞬悩むようなそぶりを見せたが、こちらに近づいてくる。
「うむ…かたじけないが、頼む」
「はい。どこに行けばいいのかな?」
パックンを抱き上げながら、行き先を尋ねる。
「少し遠いが…演習場まで頼む」
聞くところによると、この道をずっと歩いていけば演習場とやらに着くらしい。
パックンに適宜案内をしてもらうことにした。
人気のない森の中を進んでいくと、少し開けた場所に出た。
辺りを見渡すと、所々に手裏剣やクナイが刺さっている。
(演習場って、忍の修行場所のことね)
「ここで構わん。降ろしてくれ」
そう言うと、返事を待つまでもなく腕の中から地面へヒョイと降りた。
足をかばいながら辺りを歩き回り、キョロキョロと何かを探しているようだ。
すると、茂みの奥から人影が現れた。
「パックン、珍しく遅かったな」
聞きなじみのある声だ。
「ああ。これが例のものだ」
現れたのはカカシだった。
パックンから何か荷物を受け取ると、こちらを見る。
「こんにちは」
「こんなところに、珍しいね」
意外なものを見て拍子抜けした、というところだろうか。
「何だ?知り合いか?」
パックンが七海とカカシを交互に見ながら言う。
「…まあね。
ところでパックンと一緒に?」
「道端でこの子が困っていたので、ちょっと手助けしたんです」
「そのときに足を怪我してしまってな。ここまで連れてきてもらった」
パックンが補足する。
カカシは納得した顔でこちらを見る。
「なるほど、世話になったね。
パックン、今日はもう戻っていいぞ」
「うむ、じゃあまたな」
そう言うと、その場でボフンと煙を上げ、跡形もなくなった。