【NARUTO】ごめんなさいから始まる物語【トリップ】
第1章 ごめんなさいから始まる物語
里…?
聞きなれない言葉に混乱しかけたが、考えようとすると頭が痛い。
今はまだ、眠っていたい。
医者の言葉にゆっくりと頷くと、私はまた深い眠りに潜っていった。
私が目を覚ましたのはそれから一週間も後だったという。
「あ、気が付いたようだね」
私のベッドの右側に立っていた銀髪の男がこっちを見る。
黒とも紺とも言えない色の布をマスクのように着用しており、
また同じ色の鉢巻きのようなものを左目に掛かるように着けていた。
服は、同じような紺色の上下の服に、カーキ色の頑丈そうなベスト。
およそこれまでに見たことがないような身なりだったため、少し驚く。
「そのようだな」
今度は左から女性の声がした。
見ると、妙に胸元のはだけた着物のような服の上から、
カーキとも緑とも言えない色の羽織を身に着けていた。
見渡すと、その2人以外にも数人、私のベッドを囲むように立っていることが分かった。
男性は先ほどの銀髪の男と同じような服装で、女性は皆それぞれ異なる格好をしていた。
そのうちの一人に包帯を巻きつけたような格好の女性がいたため、思わず二度見をしてしまった。
「お前、話せるか?」
先ほどの女性から直接話しかけられる。
身体の痛みは、初めて目を覚ました時よりも大分和らいでいた。
私は絞り出すように、小さく声を出した。
「…はい…」
「うむ。担当直入に聞くが、お前は何者だ?」
(ちょっと待って…。)
先ほどから、おかしな格好をした人達に囲まれている上
いきなり職質のように問いかけられ、軽くパニックになっていた。
私はと言えば、「病院にいるらしい」ことしか分かっていない。
どういう状況か、こちらが問いたいくらいだ。
「あの…私は、ビルから飛び降りて、目が覚めたらこの病院にいて…」
「…質問を変えよう。名をなんという?」
「田中 七海です…」
「田中 七海…か。カカシ、知っておるか?」
「…いえ」
『カカシ』と呼ばれた銀髪の男が控えめに答える。
(カカシて…。あだ名にしてもちょっと酷いな…)
漠然とそんなことを考えていると、またもや女性に見つめられた。
「…里の外から来たのか?どこの国の者だ?」
「あの、日本の、東京都、ですけど…」