【NARUTO】ごめんなさいから始まる物語【トリップ】
第7章 ご近所さん
コンコン、と玄関をノックする音が聞こえた。
「…はーい」
扇風機に当たっていたカカシはめんどくさそうに返事をした。
いきなりの来客に心当たりもなく、どうせ大した用でもないだろうと重い腰を上げて玄関へ向かう。
ガチャ。
玄関を開けると、そこに立っていたのは七海だった。
「カカシさん、こんばんは」
カカシは意外な来客に少々驚き、背筋を軽く伸ばした。
「こんな時間に、どうしたの?」
「実は…」
どうやら今晩の食事を作りすぎてしまったらしく、迷惑でなければおすそ分けしたいとのことだった。
話を聞きながら、カカシはどうしても七海の身体に視線を寄越してしまう。
ショートパンツの裾から見える太もも、緩めのTシャツの袖から見える柔らかそうな二の腕。
自分のそれよりもふっくらと肉付きが良く、触ったらぷにぷにと弾力がありそうだ。
濡れたままの髪は首筋に張り付き、女性特有の甘い匂いがしていた。
(無防備すぎデショ…)
「カカシさん?」
ぼーっとしてしまっていたようで、気づいたら七海が不思議そうな顔でこちらを見つめていた。
「あぁ、ごめん。…それで、なんだっけ?」
「ナス、トマト、ズッキーニとか野菜入れてますけど、苦手なものはないですか?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
感情を表に出さないようにそう答えると、七海は軽く頷いた。
自分の部屋にカレーを取りに、一旦カカシの家を去る。
七海が去った後の玄関には、彼女の匂いが残っていた。
(はぁ…)
任務以外で女性と接することのない彼にはイレギュラーな出来事だった。
甘い香りも、柔らかそうな肌も。
彼女がカレーを持って再びカカシの家を訪ねるまでの間、カカシは玄関のドアに突っ伏すことしかできなかった。