【NARUTO】ごめんなさいから始まる物語【トリップ】
第6章 再開
火影室に着くとカカシは部屋の中へ入っていき、何やら火影様と話をしているようであった。
一方、私は部屋の前で待っているように言われた。
初めこそ緊張した面持ちで礼儀正しく立っていたものの、30分ほどしてもカカシが戻ってくる気配がないため、次第にリラックスして壁に寄りかかって時間を潰していた。
(いつまで待てば良いんだろう…これ)
特にやることもなく手持ち無沙汰であったため、少しだけ外の空気でも吸おうと、外に続く階段に向かってフラフラと歩き出した。
その瞬間、向こう側から人影が現れた。
初めは逆光で姿が見えなかったが、だんだんと視界が落ち着いてくる。
そこには、どこかで見たことがあるような人物が立っていた。
なんとはなしに彼の方を見るが、彼も同じく、何かを思い出そうとするような仕草で私の方を見た。
「あっ、あの時の…!」
思い出した。
いつか、酔っ払いに絡まれていた私を助けてくれた青年だ。
相手も思い出したようで、納得したような顔をした。
「あぁ、あの姉ちゃんか」
「その節は、どうも、ありがとうございました」
「別にどうってことねぇよ」
彼も火影様に用があるようで、火影室の前で足を止めた。
「そういえば、なんでアンタがこんなところにいるんだ?」
ギクッ。
不意の質問に一瞬戸惑ったが、平静を保ちながら答える。
「ちょっとした用事があって…あはは」
愛想笑いでその場を切り抜けようと思ったが、彼には逆効果のようで、却って不審な目で見られてしまった。
「アンタ、忍じゃないだろ?忍以外が火影様に用事とは珍しいねぇ」
なかなか痛いところを突いてくる。
しかし、ここで私が異世界から来た正体不明の人間だということがバレるわけにはいかない。
これ以上怪しまれないように両手を顔の前で振りながら、必死で弁明を試みる。
「まあ、私の用というよりは、知り合いの用に付いてきただけ…です」
「ふーん」