【NARUTO】ごめんなさいから始まる物語【トリップ】
第4章 出会い
とある休日のこと。
普段は家に引きこもっているインドア派の私だが、その日は職場の先輩に誘われて、町に出る約束をしていた。
繁華街の外れで先輩と待ち合わせをして、一緒に買い物に行くことになった。
木の葉の里に来てから二か月ほど経ったが、基本的には職場と家の往復で、町の方はあまり来たことがない。
唯一、木ノ葉病院の歓迎会で飲み屋に来たきりだ。
「七海ちゃんってさ、あんまり飾り気ないよね。
折角美人なんだから、もうちょっとオシャレしてもいいのに!」
そう先輩に言われ、服屋に連れていかれた。
私は和服が苦手で普段は洋服を着ているのだが、「和服も似合うわよ~」という先輩の声を信じて、簡単に着付けができるという着物をいくつか試着してみる。
「あ!それ似合う!」
それは、落ち着いた青色に小ぶりの白い花が刺繍された、控えめでありながらも華やかさのある召し物であった。
先輩や店主に相談しながら帯やら履物を選び、それらをまとめて購入した。
その日は服屋で試着した着物を着たまま帰ることになり、もともと着ていた洋服や靴は紙袋に入れて持って帰ることにした。
(それにしても、和服は慣れないな…)
着付けの仕方は店で教えてもらい、思っていたよりも簡単であったため、自分で着付けはできそうだった。
花火大会で浴衣を着たことがある人なら、それなりに着付けられるだろう。
ちなみに、私は特段美人という訳ではない。
ごくたまに、凛として涼し気な目元と、すっと通った鼻筋のおかげで、和風美人だと年配の方に言われることがあった程度だ。
その後も先輩と雑貨屋などを見て回り、気づいたら夕方になっていた。
二人とも丁度お腹がすいてきていたため、その日は夕食を食べて帰ることにした。
「私のお気に入りのお店なんだけど…あ、あの店!」
先輩が指さした方を見ると、『一楽』と書かれた屋台ラーメンの店が構えられていた。
「ラーメンかあ…いいですね」
「美味しいからいつも来てるのよ」
先輩についていきながら暖簾をくぐると、威勢の良い店主が「いらっしゃい!」と声を上げた。
二人並んで席に座ると、先輩のおすすめだというしょうゆラーメンを二人で注文した。