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【NARUTO】ごめんなさいから始まる物語【トリップ】

第3章 新生活


七海は大声をあげることもできず、ただただ連れていかれないように必死でその場に立っていた。

男の力はどんどん増していき、酔っていた七海は抵抗できずにグイグイと男の方へ引っ張られていった。

半ば諦めかけた、その時。



「おいおい、大の男二人で酔っぱらった女を襲おうって、それはねーんじゃねーの」

どこからか、静かに、だが確かに声がした。


その声の主を探そうと振り返りかけた瞬間、


シュン!!!


一本のクナイが、私を掴む男の腕をかすめた。

「ひぃっ!」

男は咄嗟に私の腕を離す。
クナイの飛んできた方を見ると、一人の青年が立っていた。

髪を後ろで一つに縛り、例のカーキのベストを着ていた。
けだるげではあるが、その目はしっかりと相手を捉えている。


「それとも、痛い目みてーのか?」

言ったそばから、もう一本クナイが飛んできて、二人の男の間を抜けた。


男たちは情けない声を上げ、その場から逃げるように去った。



「あの…」

私はお酒のフワフワ感と、恐怖と、助かった安堵で、ただただ立ち尽くしていた。

「…大丈夫か?」

青年が、ゆっくりとこちらを見る。
目つきは悪いが、こちらを心配するような優しい目だ。


「助けてくれて、ありがとう…ございます」


「別にいーよ。女が困ってたら助けるのが男ってもんだしな」

ぶっきらぼうにそう言うと、ふいっと、こちらから目をそらした。


「…アンタ、そんな恰好で夜道歩くなよ」


気が付くと、七海のシャツの胸元のボタンが取れており、はだけていた。
目の前の青年は気まずそうに目をそらし、目のやり場に困っているようだ。

「あっ、これは…」

今は上着も持っていないし、このまま胸元を抑えながら帰るのも難しい。
どうしたものか…と困っていると、青年がベストを差し出した。


「これ、せめて人気のないところまで着ていけよ」


「でも…」

七海は知っていた。これは大切な忍の服だと。
簡単に人に貸してしまっていいのだろうか。


「いいから。俺もそっちの方がありがてぇ」


気まずそうに目をそらせる青年を見る限り、悪意のない、純粋な親切であることはひしひしと伝わってきた。


「じゃあ、お言葉に甘えて…」

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