第8章 変わり行くもの
ゴンッ
「〜〜〜〜〜!?」
傷が早く治るならと思い切りマービンの頭に近くにあった本を叩きつけた。
「馬鹿にするな!私がそんなことでマービンを怖がるわけないだろ!…それ、多分私が、したことなんでしょ?クロスさんが言ってた。私がクロムとかいう力を使ったって。私が幽霊とやらに飲まれたらマービンが死ぬとも言ってた。私がマービンになんかしちゃったんでしょ。」
「ティアは俺を生き永らえさせてくれた、それだけだ。それに、この力があれば俺はエクソシストじゃなくてもティアとこれから生まれてくる子供を守れる。だから、ティアには感謝してるんだ。」
抱きしめられて頭を撫でられた、と思ったらまた抱きかかえられる。
「とりあえずティアを街に下ろしてから俺がどうにか解毒剤作って何とかするわ。」
「街に、って、外は感染したやつがウロウロしてるし、出入り口まで行くのは難しいんじゃ。」
「外からなら安全だろ。しっかりしがみついてろよ。あ、舌噛むから下は向かないように。目も瞑っててな。」
「えっ」
片手で私を支えながらも窓から体を乗り出す。
「えっ、マービン、本気?」
「行くぞ。」
「馬鹿馬鹿馬鹿!ちゃんと説明してから降りてよ馬鹿!」
「悪かったって。」
マービンの右腕がアレンのイノセンスみたいに黒く大きい手になって、その手で壁をガリガリと削りながら減速しつつ降りるっていう荒業で十数キロの崖下まで降りていったわけで、腰が抜けないわけが無い。
「収拾ついたら迎えに来るから宿で待っててくれよ。」
それからマービンが迎えに来るのは1週間過ぎた頃でバク支部長と一緒に解決し終えたとかなんとか。
戻ってきたら室長が宙吊りにされてたからやっぱり室長のせいだったか。