第8章 変わり行くもの
「マービン、お前は人間として生きてる訳じゃ無い。お前の身体は…人外で表すならグールってとこだ。」
「グールって、人間の死肉を食うバケモンのことか。」
さっきの肉は、やっぱり。俺は、ロブを食い殺しそうに。
「今のお前はティアに生き返らせられて、ティアの眷属となった。ティアが死ねばお前も死ぬ。嫌ならティアを全力で守れ。」
ティアを守ることに異論はないが、ひとつ不安なことがある。
「俺がまた理性なくしてティア以外の班員を襲う、ってことあるのか。」
「さっきみたいによっぽど腹空かせない限りは大丈夫だ。肉なら私が用意する。腹減った時はここに来い。無限に使える往復切符も用意しとくから焼くなり煮るなり好きに食え。…自分を、化け物にしたティアが憎いか?」
「まさか、これからも一緒に生きていける、その時間をくれたティアに感謝こそすれ憎むなんてない。」
以前ティアがレオナが笑うことなんてほとんど無くて泣いてることなんて1回も見た事ないって言ってたが、そんなレオナの片目から一筋の涙がこぼれ落ちていた。
涙を拭うと、力が抜けたように、笑っていた。まるで憑き物が落ちたような。ノアは人の心なんてないって思ってたが、彼女は紛れもなく1人の“母”なんだ。俺も、見方を変えた方がいいかもな。
「ティアは本当に、いい男を選んだな。ティアの傍にいてくれること、こちらこそ感謝する。」
「改めてよろしく、お義母さん。」
「…レオナでいい。見た目は年上のお前にお義母さんって呼ばれるのは違和感が凄い。」
「…じゃあやっぱりレオナさんで。」
「あれっ?マービン髪切ったんだ。イメチェン?」
「おー、ジョニー。イメチェン、っていうか、決意表明的なやつかな。」
「新本部に行くのに一新する感じ?いいねっ、やる気満々だ!俺も頑張るぞー!」
「病み上がりなんだから無理するなよー。」