第4章 揺れ動く
徹夜続きで頭が回ってないから怪我するんですよと婦長に叱られて明後日まで仕事せず休むように言われてしまった。
色々な学書持ってきて読もうかな。いや徹夜で読みふけってしまうかも。
…マービンも自室で休むように言われてるらしいし差し入れ持っていこう。
久しぶりに作ったシェパーズパイをカゴに入れてもらってマービンの部屋へ持っていく。ノックをすると起き上がってたのかすぐに出てきて、私を見て驚いた顔をする。まあ嫌いな奴が突然来たら警戒するよね。
「これ差し入れ。中入っていい?」
「え、あ、ああ…どうぞ」
案外すんなり中に入れてくれて、椅子がないからベッドに並んで座ってベッド前に移動させたテーブルにカゴを置いてパイと取り皿を取り出す。
今更ながら口に合わなかったらどうしようって不安がでてきた。けど一口食べたマービンが美味いって言ってくれてホッとしてため息が出た。
「チョクロみたいな感じだな。」
「チョクロ?」
「パステル・デ・チョクロっていう南米料理でな、潰したジャガイモじゃなくてトウモコロシのペーストを乗せて焼くんだ。長いから実家じゃチョクロって呼んでる。」
「へぇ…、ねえ、何で私を助けてくれたの?マービンに嫌われてるって思ってたから正直驚いた。」
「嫌いじゃない!その、最初は顔だけの女としか思ってなかった。今は違う、ティアの事は優秀な科学者として尊敬してる。それに、ぐったりしてるジョニーやタップを怒りながらも補助に回ってたりとか、実験が上手く行ったら凄く嬉しそうにしてるとことか、優しくて可愛いって思ってる。そんなティアが俺は好きだ、だから、怪我させたくなかった。」