第4章 揺れ動く
「ティア、おいティア!ぼーっとすんな!危ねぇぞ!」
「へっ、あ、あ゛ーーーー!」
ボンッッッ!!
煙が弾けて咳き込み、班長にゲンコツ落とされた。痛い。
「なんかティア復帰してから上の空じゃない?マービンなんか知ってる?」
「……知らね」
仕事終わりにこっそりと話があるから後で部屋に行っていいかって聞くと、戸惑ったようにいいよと答えてくれた。
ジェリーに頼んでチョクロを作らせてもらい、マービンの部屋で、この前と同じようにベッドに並んで座る。
無言で食べ続け、気まずい時間が流れる。どう、話を切り出せばいいんだ、これ。
「振るなら、サクッと振って欲しい。」
「えっ、ちが」
初めてだった。私を顔じゃなくて内面で好きになってくれた人は。
大体の男はろくに話したこともないのに美人だ、綺麗だ、って見た目を褒めるばかりで、私自身を見ていないのが丸わかりだった。
だからこそ、マービンの言葉が嬉しくて、一気に意識してしまってる自分がいる。違う、の言葉に驚いたような、戸惑ったような、そんな表情のマービンが可愛いって感じるのは、多分私はマービンのことが
「今まで恋とかしたことなくて、よく分かんないけど、多分 、マービンが好き。」
優しく抱きしめられて、心臓が高鳴る。
しつこく求婚してくる奴らに直接言い寄られた時の嫌悪感とかは一切なくて、ただただドキドキするだけ。やっぱり、好きかも。
初めてしたキスは、ちょっとしょっぱかった。